
今年の学びのテーマの一つである脱成長。『経済成長なき社会発展は可能か?』と『〈脱成長〉は、世界を変えられるか?』に続いて、セルジュ・ラトゥーシュが教え子とともに若い世代向けに書かれた作品だけあって、難解な前作とは違って読みやすい。
今から16年前の作品で、経済状況や環境破壊についても当時の状況をもとに記されているが、今ではこの状況がさらに加速化し、市民社会側の運動もさらに激化している。それでもここで提示された新たな「脱成長」の考え方は決して古びてはいない。
「スロー・フード」「地域通貨」「働き方の再検討」など、当時のキーワードが文中に散りばめられている通り、「脱成長」は、単に経済成長しないということではなく、ましてやマイナス成長ということでもなく、半ば社会的に強迫観念になっている「成長優先」という考え方から離れて、自分の人生の時間を何を優先して使っていくのかという点から論じている。
16年後の現在では、「成長優先」という言葉さえ嘲笑されるような厳しい経済状況ではあるし、頻繁する大災害も人の心を萎えさせるし、何にどう取り組んでいくのか愕然とすることしきりだけれど、まずは足元から、自分の地域から自律した生活を営むことをおろそかにしないことを優先させていきたい。
ラトゥーシュには新刊(とはいえ7年前)もあるので、この後にどう考えが変容していっているかを読んでみたい。
脱成長のとき
人間らしい時間をとりもどすために
未来社 刊
セルジュ・ラトゥーシュ/ ディディエ・アルパジェス 著
佐藤直樹 佐藤薫 訳
目次
序 章 いまこそそのとき
第1章 時間の多様性の喪失:方向転換の必然性
第1節 生産至上主義の名のもとに押しつぶされた時間
第2節 強制されたスピード
第3節 製品寿命の人為的操作
第4節 永遠を現在に:持続可能な発展
第5節 仮想的な時間
第6節 時間を売るということ
第2章 本来の時間をとりもどす
第1節 時空間の再構築
第2節 より良く生きるために働く量を減らそう
第3節 隔たりを減らし、ゆとりを見出す
第4節 地域活動の再発見
第5節 時間を元に戻す
終 章 同じ世界で別の生き方をする














