
今年の学びのテーマの一つである脱成長。『経済成長なき社会発展は可能か?』と『〈脱成長〉は、世界を変えられるか?』と『脱成長のとき』に続いて、御年86歳のセルジュ・ラトゥーシュの脱成長に関する集大成とでも言うべき作品で、まずはこれだけ読めばよいという内容。
行き過ぎた消費社会や気候危機がもたらす破滅的な未来社会に対して、これからでもできることがあるのか。先のチベットとネパールの氷河崩壊による土石流災害や、日本で新たに設けられた酷暑日(気温40℃以上)などを体験すると、何をやってももう間に合わないのではないかと思うこともある。
さりとて自暴自棄になることもできない。世界政治や経済の動向が変わらない、いや変えられない以上、市井の人が取り組めることとしては、彼の言う「再ローカリゼーション」=地域の自律性を再発明するではないか。それは地産地消や地域通貨といった経済的なことにとどまらず、政治や文化についても自律性を高めていく、そんな地域の協働なり共生なりを図っていくことがとりあえずは地道にできることかと思う。イリイチの言う「コンヴィヴィアリティ」(自立共生社会)にもクロポトキンの言う「相互扶助社会」にも通ずるだろう。
脱成長関連の手持ちの書籍はあと二冊。続いて読んでいきたい。
脱成長
白水社 刊(文庫クセジュ)
セルジュ・ラトゥーシュ 著
中野佳裕 訳
目次
序章 起源と意味
1 脱成長についての短い歴史
2 脱成長の意味
3 脱成長プロジェクトの二つの源流
4 翻訳の難しさ――脱成長はラテン語圏特有の表現か?
5 追記
第一章 なぜ消費社会から抜け出さなければならないのか?
1 経済成長の二つの欺瞞
2 経済成長と富の指標としてのGDPは幻想だ
3 持続可能な開発の罠
4 アブスルディスタン――経済成長は持続できない
5 物質的な豊かさの裏切りと消費社会の全体主義
第二章 脱成長の目的
1 具体的なユートピアとしての脱成長――八つの再生プログラムの好循環
2 幸せを問う――節度ある豊かな社会へ
3 国家と脱成長――メタ政治プロジェクト
4 脱成長は右派なのか、それとも左派なのか?
5 南側諸国にとっての課題
第三章 誤解と論争
1 脱成長は、マイナス成長や緊縮財政のことなのか?
2 脱成長は文明の後退か――電気のない時代に戻るのか?
3 脱成長と人口問題
4 脱成長と雇用――失業問題をどう考えるか?
第四章 脱成長社会への移行を成功させる
1 経済から抜け出すために、想像力を脱植民地化し、我々の考え方を逆転させよう
2 再ローカリゼーション
3 破局から学ぶ
4 脱成長の先駆者たち
終章 世界を再魔術化する















