地政学にはこれまで触れたことがなかった。要は世界の中でどこにどう位置するかという地理的な条件が政治、経済、軍事などに与える影響を分析する学問で、フォローしているキュレーターが薦めていたので読んでみた。

要は第二次世界大戦後に米国が主導したグローバルな体制(著者曰く「秩序」)が、世界的な高齢化による人口構造の変化や米国自体の政策変更により崩れつつあり、この変化に適応できていかない国はさまざまな分野で脆弱性を高め、いずれ地域ごとの分断の時代が到来するというのが主な主旨。その中でアメリカ自体は地政学的な優位性を失わず、体制が変わってもその影響力は維持できる可能性が高いとしている。

具体的には6つの領域(輸送・金融・エネルギー・工業用原材料・製造業・農業)に分けて、豊富なデータをもとに地政学を駆使した形で論述していて、日本については海洋上の安全保障には長けているものの、食料やエネルギーの確保、高齢化の点で厳しい状況に直面するだろうとしている。

各領域について地形や地理に基づいた分析や人口動態の分析はなるほどとうなずける部分も多いが、炎上商法とまでは言わないが、何に関しても悲観的でかつ、国家が前提で市民社会の動きについては触れていない点からすると、ひとつの視点として捉えておけばよいと思う。それに本書は2022年の発刊であり、2025年の米国の政権交代以降の政策変更についてを勘案して考える必要もあるだろう。

出版元の集英社のサイトに上げられている主な内容

・いよいよアメリカが「世界の警察」の役割を捨て、西半球にひきこもる。
・脱グローバル化で、世界経済に何が起きるのか。
・今後、大きなリスクにさらされる海運。製造業がこうむるダメージとは?
・過去70年の成長を支えてきた、豊かな資本。それが、世界的に枯渇してしまう理由。
・世界的な人口減少。日本人が見落としていた壁とは?
・世界のモデル国・日本を、他国が見習うことができないのはなぜ?
・エネルギーや資源の調達は、今後も可能なのか?
・グリーン・テクノロジーでは未来を支えられない、その理由。
・日本が食糧危機から逃れるために、すべきこと。
・「アメリカの世紀」のあと、覇権を握る国はどこなのか。

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