エマニュエル・トッドは、フランスの人口統計学、歴史学、地政学、家族人類学が専門で、本作では、ロシアのウクライナ侵攻を題材にして、西洋の衰退について分析している。

特に世界の中で西洋の政治的・経済的優位性が揺らいでいることを指摘し、各国の家族構造の違いや宗教に寄ってその原因を社会的・文化的な構造に求めている。

家族構造の変化が個人の自立性を強調するあまり、集団としての連帯感が薄れ、国家としての力が弱体化したとするほか、西洋のプロテスタンティズムの価値観、例えば教育や個人主義、効率的な組織の形成、道徳的な規範などが崩壊し、結果として社会の一体感や協力関係が希薄になっているとしている。大学時代に学んだマックス・マックス・ヴェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』を思い出した。

西洋の優位性が失われていく中で、グローバルサウスと呼ばれる新興国の台頭を指摘する。実際、BRICSはG7より世界的な経済成長をけん引するようになっている。国際社会の勢力図は明らかに変わってきている中で、「西洋」の一員である日本は世界の中でどういうポジションを取っていくのか、今までのように米国従属ではやっていけない時代が来ている。

現代世界の新たなパワーバランスについて、いろいろな視点をもたらしてくれた。

出版元の文藝春秋のサイトに上げられているセールスコピーより

ウクライナの敗北はすでに明らかだ
・戦争を命の安い国に肩代わりさせた米国
・ウクライナは「代理母出産」の楽園
・米国は戦争継続でウクライナを犠牲に
・米情報機関は敵国より同盟国を監視
・NATO目的は同盟国の「保護」より「支配」
・北欧ではフェミニズムが好戦主義に
・独ロと日ロの接近こそ米国の悪夢
・ロシアは米国に対して軍事的優位に立っている
・モノではなくドルだけを生産する米国
・対ロ制裁でドル覇権が揺いでいる
・米国に真のエリートはもういない
・米国に保護を頼る国は領土の20%を失う
・日独の直系社会のリーダーは不幸だ
・日米同盟のためにLGBT法を制定した日本
・NATOは崩壊に向かう 日米同盟は?

●出版社のサイト

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