敬愛する是枝裕和監督が初めて撮った韓国映画。韓国の有名俳優のあて書きで作ったという。ちなみに監督とは同い年（どうでもいいけど）。
日本で言う「赤ちゃんポスト」、韓国では「ベイビー・ボックス」というらしいが、韓国では法改正により養子縁組が難しくなったことからこのボックスの利用が増えているらしい。
養子縁組が難しくなったことから児童売買に手を染めるブローカーのマーケットが生まれた。この映画はボックスに預けられた赤ちゃんを連れ去って売買するブローカーのお話。
ブローカーにもそれぞれ複雑な事情があり、預けた母親と共に養父母探しの旅に出る。それを追いかける女性青少年課の刑事も加わってのロードムービー的な要素もある。殺人事件も絡んだりするが、決してサスペンス映画ではない。
一緒に旅をする中で生まれる疑似家族的な関係性は、「万引き家族」でもテーマとされていた。社会の底辺で生きる者たちが血のつながりがなくても強い紐帯を持って生きていけるということを、監督はこの映画でも示していた。
お前なんか自分なんか生まれなければ良かったという内外の声に立ち向かって強く生きようとしている子どもたちに向けてどんな映画を提示できるだろう、というのが問題意識の根本にあったと公式サイトで監督は書いている。その応えは映画の中でもある登場人物のセリフに感動的な場面で込められていた。
ラストは含みを持たせながらも、連れ去った子どもを中心に、これからの明るい兆しを見いだせるような内容でそれぞれの行く先を想像したくなった。子ども食堂や地域の居場所で生まれているつながりもある意味、疑似家族と言えるのかもしれない。
予告編
