去年の秋に公開されて日本アカデミー賞でも最優秀助演女優賞はじめたくさん受賞していることもあって、ずっと気になっていた。瀬々敬久監督の作品は「64 ロクヨン」「8年越しの花嫁 奇跡の実話」「友罪」「楽園」「」と気が付けばかなりの数を観ていることからすると、作調が好きなのかもしれない。

東日本大震災から9年目の仙台が舞台。餓死による連続殺人事件の捜査をめぐって浮かび上がる「福祉の貧困」と悲劇。作品的にはミステリの要素を含みつつ、震災後の生活苦や人間関係の再構築を背景に、セーフティネットの最後の砦である「生活保護」について深く考えさせられるものだった。「守る」ではなく「護る」にしていることからも制作者の意図を感じる。

貧困は眼に見えない。子ども食堂やフードパントリーの現場に多少なりとも関わる中で、そのことを実感している。作品中、生活保護の受給担当を務める保健福祉センターの職員の「もっと声をあげればいいんです。声をあげれば誰かが応えてくれるんです」という台詞がしみる。受援する力を育むにはどうすればいいのか。もしくは相互扶助の社会をつくるためにはどうしたらいいのか。いろいろ考えるきっかけをもらえた。

チャラさや笑いはほぼない。気持ちが落ち着いているときにじっくりと一人で観てほしい映画。役者もすごい。

予告編

桑田さんの主題歌「月光の聖者達」がまたいい

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