男に依存しながら場当たり的に生きるシングルマザーと息子の物語で、2014年に川口市で実際に起きた「少年による祖父母殺害事件」からヒントを得ている。その時々に公的な支援を受ける機会があったものの、縛られることのわずらわしさからか、安定した生活は長続きせず、身内からも縁を切られて居所を転々とする。

「あれは私が産んだ子なの。わたしの分身。舐めるようにしてずっと育ててきたの」と吐く母と、何をされても母を嫌いになれない息子の共依存が、やがては息子が実の祖父母を殺める事件に繋がっていく。

是枝監督の「誰も知らない」同様、実際の事件をモチーフにしていることと、社会のセキュリティネット(制度)から取り残されている、あるいは自ら制度に乗ろうとしない人たちを描いているが、これを単なる「貧困」問題と位置付けるには違和感があるし、事件に発展しないような同様の事案はたくさんあるのだろう。

問題を抱えて心理的に不安定な身近な家族や恋人と、見捨てられる不安とが相まって抜け出せない「共依存」の関係に周りや社会ができることはないのか、制度だけに依らずにコミュニティとして、あるいは市民社会として寄り添うにはどうしていけばいいのか、深く考えさせられる内容だった。

それにしても共感も同情も拒もうとする人たちを演じきった役者たちには敬服する。母と息子が映画賞を取ったのも宜なるかな。

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